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アーク君とシーサー君

私のスタンスのためか、個人営業で自由が利くからか、「きっとどこかのペットショップやサロンに勤めていたら出会えなかったのかな」と思う犬や飼い主さんとの出会いもあります。
どんな本を読んでも、話を聞いても、やっぱり『実際に犬と触れ合う』ことほど勉強させてもらうことはありません。
以前師匠に「自分がやってることを信じられるかどうかだよ。あとは犬が教えてくれるからさ。」と言われたことがあり、なんとなくその言葉が頭から離れなかったのですが、その意味を年々痛感します。

犬が全部教えてくれる。
だからいろんな犬との出会いがある事は本当にありがたい。
結果として私の存在がその犬自身や飼い主さんにとってプラスになれれば、こんなに嬉しいことはない。
こうして気ままに、自分のスタンスを貫きながら、沢山の犬と飼い主さんと出会える環境に恵まれたことを本当に嬉しく思います。
組織の一員だったら「自分のやりたいことと組織の理念が違う…」という悩みも出てくるもの。

最近も、とても大きな学びをもたらしてくれた犬達との出会いがありました。

アーク

こちらはシェパードのアーク君。
幸一と同年代だけど、幸一より白髪が少なくて若々しい顔をしています(笑)
すっごいキュートなキャラなんです。
ほんとシェパードって見た目で怖がられることが多いけどキュートなんですよ。

DM(変性性脊髄症)という、下半身から機能しなくなっていく病気を患っていて、アーク君は現在車椅子なんですが、車椅子で一時間も散歩するんだって!
幸一、一時間行ったらくったくたになるのに(笑)

アーク君には弟分がいます。
秋田犬のシーサー君です。

シーサー

幸一のベッド占領中(笑)

シーサー君は生粋の秋田犬ですが、短毛の両親から短毛の子犬たちが生まれた中、彼だけご覧のように長毛だったそうです。
それが理由で処分されるところだったのを、今の飼い主さんと出会ったお陰で、生きられたシーサー、本当に良かったね。。。
すっごい大人しくて、普段は「置物か!」っていうくらい動かないし、和犬は本来家族以外の人には触られることすら嫌がるコが多いですが、シーサー君は最初から私がレインコートを着せることも平気でさせてくれるようなコです。
初対面の秋田犬に顔をベロベロに舐められるという経験は、なかなかないでしょうね…。

そんな兄弟ですが、私とご縁があったのは、飼い主さんの「このコ達を安心して預けられるところを見つけたい」というご要望からでした。
アーク君は介護が必要な状態だということ。
シーサー君は、普段はとても大人しいんだけれど、夜など『人間が長時間いなくなる』という状況になると俄然不安になるらしく、ハウスを壊したり水さえ飲まなくなったりというストレス症状が出ること。
それが理由で、気軽にどこへでも預けるというわけにいかず、ママさんこれまではどこへ行くにも犬連れだったということです。
それはある意味理想的ですが、ママさんも体調を崩したりすることもあり、そういういざと言う時に、頼れるところを見つけたかったということ。
そりゃそうだ!

というわけで、じゃあ、この兄弟をうちでお預かりできるものかどうか、ショートステイや一泊で試してみました。

シーサー君の課題は何と言っても夜でした。
ハウスに入ること自体は平気だし、少しくらいなら人がいなくなっても大丈夫。
『人が側に居ない』のと『長時間』という条件が重なるとダメらしく、これまでは預け先では夜になると破壊行動が出たり、日数を重ねるとごはんや水を受け付けなくなったり…という状態だったそうです。
いつも遊びに行くドッグランでスタッフさんとも仲良くなり、ショートステイを何度も繰り返し…と、ママさんは努力してこられたのですが、夜を繰り返すと段々不安が募ってくるようで、三晩目にはやっぱりハウスを破壊。
狭いところが駄目なのかと、兄貴分のアーク君と共に六畳くらいのお部屋に泊まらせてみたこともあるものの、それもはまらなかったそうです。

そりゃあもうあとは一緒に寝てみるしかないよね~。
というわけで、何度か日帰りを試したのち、一泊させてみた時のお写真が先ほどの『幸一のベッド占領中』ですよ。
私が幸一やレオと寝起きする部屋で一緒に過ごさせてみたところ、犬達とも何の問題もなく、何かいたずらをするわけでもなく、ご覧の通り。
初っぱなから普通にリラックスして一晩お過ごしになりました。
不安がる様子も特に見せず、いつも通りのシーサーのまま、ママさんがお迎えに来るまでイイコにしてました。
思った以上にすんなりと泊まることができてママさんも私も拍子抜け~(笑)
強いて問題点を挙げればシーサーが部屋の真ん中で寝てしまったことによって私の寝る場所がなくなったっていうくらいですかね!

それでも帰宅してから一日はママさんにべっっったりだったらしいですけどね。
とても甘えん坊で寂しがり屋なんだね、シーサーは。
そして、きっと、すごく我慢強いんだろうなと思います。
不安やストレスを感じても、限界が来るまでは、それを自分の中に抱え込んで耐えて、周りの人間に見せないんだと思います。
だから、ひとまずはうちにお泊まり出来そうだということで安心なんですが、長期になった時にフラストレーションが募ってこないか、よく見てあげる必要はあるかなと思いますね。

アーク君の方は、アーク君自身ではなく、私が介護を出来るかどうかが鍵です。
絶対に欠かせないのは圧迫排尿や排便のお手伝い。
要するに犬のお腹を外から押して、膀胱を絞るようにし、人間の手でオシッコをさせてあげるわけです。
その練習もかねてアーク君も何度かショートステイして頂きました。
日々の介護の大変さというものは、実際、自分の愛犬が要介護状態になってみないとなかなか体験できないものです。
仮に動物病院に勤めたからと言って、必ずしも日常の介護が体験できるとは限らないし、アーク君のママさんも仰ってましたが、こういう時一番参考になるのって医学書とかではなく、個人のブログなどだそうです。
同じように日々愛犬の介護を経験した人の個人ブログ。

私も最初にお話を頂いた時、「圧迫排尿!?出来るかな(汗)」と思いすかさずネットで調べてみたら、個人のブログや動画サイトに上げた動画などが沢山引っかかってきました。
誰かの役に立てたら、と思って情報を提供している方が、沢山いらっしゃるんですね。
アーク君の飼い主さんからも直接ご指導頂いて、レッツチャレンジ。
圧迫排尿は、犬が完全にリラックスして横倒しになっていてくれないと、なかなかうまくいかないのだそうです。
アーク君は繰り返しのショートステイの甲斐もあり、すぐに私に体を任せてくれるようになって、こちらも思っていたよりすんなりとオシッコを出してくれるようになりました♪

長年犬を飼い続けていても、こういう経験は、必ずしも巡ってくるとは限りません。
出張トレーニングや普通のトリミングだけ日々こなしていても、こんな経験は出来ません。
アークとシーサーのママさんがうちを選んでくださったこと、私がアークやシーサーのような犬もお預かりできる体制でいたことを幸運に思います。
アークママさんが「こうちゃんやこの先土田さんが飼う犬に対して役立つかもしれないし」と仰っていましたが、本当にそうだなと思います。
少しでもノウハウがあるのと全く経験がないのとでは雲泥の差だもの。

よそに滞在すること自体はアークにとっては苦痛でもないようで。
私が側でパソコンなんかいじってる時はくつろぎまくりでした。

暑いの?

アーク君は下半身は冷えやすくなっているということで、加えてこの日は肌寒かったので、一応暖房をつけたりしていたのですが。
上半身は暑くなるのか、すぐにマットからはみ出して冷たい床の上に寝転んでました(^^;)
まぁこうして堅い床の上に長く寝ていると床ずれなんかすると悪いので、すぐマットの上に戻すんですけどね。

そうそう、アーク君は、もともととてもフレンドリーなシェパードで、犬付き合いもうまく、ドッグランなどでもどんな犬とも平気だったそうなんですが、体の自由が利かなくなってきてからは、よその犬に警戒するようになってきたんですって。
そりゃあそうですよね、もし相手がタチの悪い犬だったりしたら、ちょっかいを出されても、アーク君は逃げることも、自分の身を守るためにやり返す事も出来ないですから。
早い段階から警戒し、前もって「それ以上来ないで」と言いたくなる気持ち、無理もありません。

ここに、いかに犬にとって自由が重要かが見て取れますね。
リードが張ってしまったり、人間が犬を抱っこすることによって犬が自分の思うように行動できなかったりする場合に、犬が必要以上に怖がったり吠えたり、犬同士の不要なケンカが起こったりすることは、珍しくありません。
何かあった時に自分の意思で物事に対処できない状況は、犬を無駄に不安にし、追い詰め、パニックや攻撃行動を引き起こしやすくなってしまうんです。
犬が恐がるもの、苦手なものが接近してきた時に、逃げ場がない、むやみにその場にとどまらせる、などは犬を追い詰めてしまいます。
まして苦手なものに慣らさなくっちゃと無理に近づけるような事は逆効果。
まずは犬が「もう無理~!!」とならないスペースを確保してあげること、これを大切にしてくださいね。

それから、アーク君がそうやってよその犬を警戒する様子を見ると、弟分のシーサー君も一緒になって警戒するんだそうです。
先ほどはシーサー君、幸一達とも平気で一緒にいられて…と書きましたが、アーク君が一緒だとシーサー君も警戒することをママさんがわかっていて、シーサー君だけを公園に連れ出して、幸一達と挨拶をさせたからなんです。
ここには多頭飼育の場合に犬同士が及ぼし合う影響の大きさを見る事が出来ます。
アークとシーサーの場合はこうして、飼い主さんがよく犬達を理解し、どちらの犬ともしっかりと絆を結び、飼い主さんが対応できる範囲内の変化で落ち着いています。

しかしもしこれがもっともっと悪い形で多頭飼育のデメリットが出てきたら。
犬の数が多すぎたり、人間が一頭一頭ときちんとしたコンタクトを取れずに「犬のことは犬同士にお任せ」になりすぎたりして、いざという時に犬達が人間の意図を汲んでくれない状態になったら。
犬同士の相性によっては、犬達の中で依存や過剰に意識し合う関係ができあがり、互いの不安をあおり合ったり興奮を高め合ったりすることだって珍しくありません。
犬同士の結びつきが強くなりすぎてから、問題が起きたとトレーニングしようとしても、すでに出来上がった犬同士の世界に人間が介入しようというのはなかなか大変だったりするんですよね。
だって当然犬同士の方が話通じるから、今更言語の違う人間なんかと足並み揃えたいとは思わないですもんね。
だから多頭飼育になる場合は単頭飼育以上に一頭一頭と飼い主さんがしっかりとコンタクトを取っておかないと。

こうして、別にトレーニングを頼まれたわけではない犬達からでも、犬との付き合い、育て方において参考になる事をいくらでも学ぶことが出来ます。
いくら本を読んで知識としてだけ持っていても、頭でだけわかっていても、実体験を経て心からの納得が伴わないと、本当に自分のものにはならないと私は思っているので、その大切な実体験を積ませてくれる、「そういうことか!」と心からわからせてくれる、犬達との出会いに深く感謝します。
どんなに理論を勉強しても、犬と触れ合えなかったら、勉強した内容は私の身につかない!

アーク君とシーサー君にはこれからも「まぁここなら泊まってもいいか」と思ってもらえるホテルであれるよう、必要がなくともたまにショートステイしてもらって、嫌な想いをさせない預かり方をするようにして、慣れていってもらいたいと思います。

そうそう、以前『正しい(?)ペットホテルの使い方』という記事で、ショートステイはマジでお勧めですよ!と書きましたが。
たまに来てもらうというのはやっぱり大きな意味があるんだな、と教えてくれたわんこがいます。
昔からご愛読頂いている皆様、このコをご存じですか?

省吾

チワワの省吾くんです。
「何撮ってんだよっ」

省吾君は以前、保育園として日帰りやお泊まりを頻繁にご利用頂いたわんこです。
本当によく来てくれて、すっかりうちにも慣れていたんですが、飼い主さんの生活に大きな変化があり、しばらく会えなくなりました。
どれくらい会えなかったかははっきり覚えていませんが、年という単位ではなかったかと思います。

久しぶりにトリミングをお受けした時、省吾君は、以前は全ての作業を文句一つ言わずやらせてくれたのですが、間が空きすぎてヒゲカットをさせてくれませんでした。
と言っても咬むわけではなく、唇がピクピク震えてしまったり、「やっ!」という感じで顔を背けたり、という程度だったんですが。
ここを無理に押さえても仲良くなれないし、下手にハサミを向けて怪我をさせる方が嫌だしな~と思って、私はヒゲカットを断念したんですね。

その後は、無理強いをしなかったことと、またたまにうちでトリミングをさせて頂くようになったことが功を奏したか、だんだんとまたヒゲカットもさせてくれるようになりまして。
最初はほとんど切れなかったのが、左半分だけ切れるようになり、次の回では両方切れるようになり…と、また私に対して親しみや許容する心を持ってくれたのかなと思える状態になりました。
と言っても、二、三ヶ月に一回とか、長いと四ヶ月という間が空きながらの、たった数回のトリミングを通してですよ
そんなに間が空いて、しかもトリミングなんていう犬にとっては楽しくも何ともないはずの作業を共にするだけでも、省吾君は忘れてなんかいないし、ご無沙汰して離れかけた心をまた私に開いてくれたんです。

この省吾君の例を見ると、ペットホテルに慣れさせるためのショートステイなんて、一ヶ月に一回でも犬にとっては充分『その場所』や『そこの人間』を認識していけるってことですよね。
いつまでも過剰に怯えたり騒いだりするのは、決して「覚えてない」とかということではなくて、別の理由がある。
シーサー君だってその場もスタッフもよく知っていて、仲が良くて、それでも泊まれなかった。
別に「よく知らないところに置いて行かれて不安になった」わけじゃないんです。
そんなに単純な事じゃない。

ペットホテルという環境に馴染めるかどうかは、多くの人が考えるほど単純ではないと私は思います。
自宅でクレートトレーニングをしたからと言って、必ずしも病院やショップのクレートにいきなり安心して入れるとは限らない。
逆に、普段何もしていなくたって、ストレスマネジメントがしっかりしていて、多少変わった出来事が起こっても動じず対応できる犬なら、いきなりよそへ預けられても耐えられる。
犬ってね、バカじゃないんです、世間で認識されているよりもっともっと高度で複雑。
だから「これさえすれば必ずこう」はない。

これだけよくわかる犬達だから、ショートステイさえ重ねれば大丈夫、とは言いません。
だけどショートステイを重ねてあげる事が、犬にとっては、人間が思うよりはるかに意味があることも間違いないと改めて思いました。
なるべくストレスをかけず、ペットホテルという環境に馴染ませてあげる方法の一つとして、お勧めであることは断言できます。
ほんの時折のショートステイだけでも、決して忘れなんかしないんです。
そのちょっとした時間の中だけでも、預け先のスタッフの対応次第で、犬達は正直に応えて変化を見せてくれるんです。

だけど飼い主さんが最初から箱入りにしてしまっては良くも悪くも何一つ変わらないから。
犬という、社会性の高い生き物を飼った以上、社会経験を積ませてあげるのは飼い主の義務ですよー!
散歩を筆頭にいろんな施設やサービスを上手に活用しましょうね。
 
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りりちゃん

少子高齢化が叫ばれるようになって久しい社会ですが、それに伴って、一人暮らしの高齢者や、高齢のご夫婦だけで動物を飼ってらっしゃる方も、確実に増えてきていますよね。と私は感じる。
で、飼い主さんが先に亡くなってしまって、犬や猫が行き場をなくすという話も、本当に珍しいものではなくなりました。
私も実際、母方の祖母が亡くなった時に、母の実家がいろいろごちゃごちゃして、結局母の実家は空き家になるという事になり、実家で十年以上飼っていた猫をどうするかという話になったものです。
幸いその猫の場合は、親戚で引き取ってくれるところがあったため今も幸せに暮らしていますが、猫は犬以上に場所が変わることを嫌う生き物であるため、引っ越しさせた当時はみんなで心配したものです。
こんなにトシを取ってからがらっと環境が変わって、飼い主まで変わって、馴染めるんだろうか…と。
なんとか馴染みましたけど!

動物を飼うという事は、そのコの生涯に責任を持たねばならず、人間側の都合だけで飼うような事があっては決していけません。
だけど実際はまだまだ、本当に考えに考え抜いて覚悟を決めて買ってくる人の方が少ないと、私は感じます。
高齢者にフォーカスすれば、「寂しいから」で動物を飼うケースがとても多い。
自分自身が、その動物を看取ってやれる可能性が、どうしても若い人より低いということは頭でわかってはいても、淋しさに負けて子犬や子猫を買って来てしまうパターンです。
勿論「また飼いたいけど、もう自分がトシだから」と言って我慢されている方も、沢山お見かけしますけどね。

まぁ私だって、あと60年確実に生きられると保証されているわけでもないし、まだ20年30年と自分の足で身軽に歩き、犬の散歩に付き合ってやれると、確約されているわけではありません。
大きな事故や病気をするかも知れない、30代でも腕や足に後遺症が残るような事故に遭うかも知れません。
家族が何人もいて、みんなで交代で犬の世話をしてやれるおうちだとしたって、大きな災害でもあればみんなバラバラになったり亡くなったりして、動物だけ宙ぶらりんになるかも知れない。
そう考え始めたら本当に、動物飼って確実に最後まで責任を全うしてやることなんて不可能じゃん!っていう話になってしまうんですけど。

そういう『予期せぬ出来事』『偶然の不幸』を除いても、高齢の方だけの暮らしは、『今の平穏』が長くは続かない事は、切ないけれど目を背けてはいけない現実です。
それを踏まえるとやっぱり、世間一般の『高齢者』の世代に入った方だけのご家庭には、少なくとも子犬や子猫が渡ることはないようになってほしいんですよね。
ショップなんかは生体を売る時、せめて家族構成くらい確認して、犬の世話を主にするのは誰かっていう事くらいは聞いてから、犬種を選んだり売ったりしてほしいし、出来ることなら保護犬の存在を教えてあげてほしいんです。
5歳、6歳を過ぎて既に落ち着きを備えた、新しい飼い主さんを待っている犬や猫の存在を。
「今から子犬買って来てあと15年生きられるのは無理」な方も、「あと5年なら自分も元気で面倒見てあげられる、どのみち行き場がないのならうちで短い年数でも幸せを味わわせてあげる」と思えるかも知れない。
まずはもっと保護されている動物の存在が広まるといいなー。

皮肉なもので、犬や猫が好きな方ほど、「飼いたい」という感情と「現実的に考えて無理」という理性の狭間で、闘うことになるとは思います。
私自身も、犬を飼える状況ではなくなった時のことを想像すると、不老不死の秘薬が欲しい!
でもいざ動物が宙ぶらりんになる事態が起きた時、誰が一番辛いって、当然動物です。
どうにかしてやりたくても、亡くなってしまったら飼い主さんは何もしてあげられない。
遺された身内が、真剣にそのコの先を考えてくれる人達だったらいいけれど、一人暮らしで親戚とも疎遠だったような方が亡くなって、何頭もいた猫もみんな処分、そんな話はいくらでもある。
今は保護団体や行政の取り組みも活発になって、次の人生を歩める動物も大分増えましたが、それでもまだまだ何百万という犬猫が処分の道を行っているんです。
可愛がられていたのに一転、そんな事にならないように、頼れる人が居ないなら動物との暮らしは我慢してもらいたい。

母の実家の猫だって、亡くなったのは祖母だけで、祖父は健在だったし、娘(私の母)は当時同じ家に暮らしていたし、埼玉に住む息子もいたんです。
それなのにいろいろあってこれまで通りの暮らしは出来なくなった。
高齢の一人暮らしでなくてもこうなる事がある。
今私のところにも、同じように、予期せぬ形で行き場がなくなってしまった犬が一頭います。

りり

MIXのりりちゃん、今年で16歳だそうです。
りりちゃんの飼い主さんご夫婦、まさかの若さでお二人とも亡くなってしまいました。
私にりりちゃんを託されたのは息子さん。
ご兄弟お二人とも県外在住で、今はりりちゃんと暮らす事が出来ず、一時的に預かってくれるご親戚などはいらっしゃっても生涯面倒見られる方が見つからないとのこと。
そこでりりちゃんの行き先を探し、私を見つけてくださいました。

今、高齢化して介護が大変な犬、飼い主さんが飼いきれなくなった犬や、りりちゃんのように面倒見られる人がいなくなってしまった犬のために、『老犬ホーム』なるものも増えてきています。
私が老犬ホームと銘打って宣伝をしているわけではないのですが、まぁもともと訓練目的で長期預かりに対応しているので、りりちゃんにもご利用頂くことになりました。
これだけの高齢で、家も人も替わり、デカイのからちっこいのまで犬がわらわら…そんな大きな変化を体験させて、大丈夫かしら、受けつけられるかしらと、ちょっぴりドキドキしながらのお預かり。
結果として、ひとまずなんとかうちで暮らせているんですが、寂しくないかなぁ、本当は嫌だろうなぁ…とはやっぱり思っちゃいます。

まーでも「お前ほんとに16歳!?」って言いたくなる時も多々あります(笑)
とにかく元気で!
朝と夕方は「メシと散歩はまだかいのぉ~!?」てな具合で結構吠えるし、散歩なんてサクサク歩くどころかダッシュするし、なかなかの身のこなしで私の足下をすり抜けようとするし、かなりの段差もひょいと飛び上がって私のあと追って来るし。
ごはんと散歩が滞りなく済むと、基本的に自分のベッドで寝てるし。
そんな様子見てると「…あんまりヘコんでないのかな」なんて思わされる事も(笑)

まぁ、可愛がってくれていた飼い主さんと会えなくなっているんだから、寂しくないわけないと思うんですけどね。
私はこういう時の『動物のたくましさ』『生きる底力』が大好きなんです。
人間は眠っちゃってる人が多いと感じるんだけど、動物を見てると、生命の躍動を強烈に感じます。

りりちゃん、丁度毛の生え替わりの時期に飼い主さんが入院、ご葬儀という感じでバタバタして、大分抜け毛が身体に溜まっていましたので…

ブラッシング前

ざっとブラッシングしてみました。

ブラッシング後

さっぱり

ちょっとサッパリした☆

お預かりして来たばかりの時ほど、やはりりりちゃんも戸惑う事も多く、何か要求があると結構延々と吠えて私を呼んだりしてましたが、私も大分りりちゃんの行動パターンがわかってきたので、段々と快適なサイクルを作ってあげられていると思います。
馴染みのない人にはちょっと警戒するタイプのコなので、最初は私がリードをつける時や触ろうとする時に退いたりしていましたが、そんなのもすっかりなくなりました。
散歩も最初、私、「こんなに高齢のコどれくらい行って大丈夫なんだろう」なんて思って、10分15分で帰ってましたが、全然元気だし疲れない(笑)
私がいつも使う、三メートルのリードでも足りないくらい、アグレッシブに動く動く。

りりの散歩

なんて元気なおばぁなんだ…
散歩行って、メシ食って、寝る!
そんなりりちゃんの毎日です。

本当は、全ての動物が、慣れ親しんだ家、最愛の家族に囲まれて、生涯心穏やかに暮らせる事が一番です。
人間でもそうですが、私、「家族に看取られる」ってとても幸運なことだと思うんです。
母方の祖母は誰も身内が傍にいない状態で病院で逝ってしまったし、今年の三月、私にとってちょっと思い入れのあった犬が、寒い玄関先のケージの中で一人静かに夜中に旅立ちました。
数日間、具合が悪かったことをわかっていながら、飼い主一家は誰も傍にいてあげなかった。
多分病院にも連れてってあげなかっただろうな。
そういうケースを思うと、自宅で、家族が見守る中で息を引き取っていくって、結構確率低いしとてもラッキーな事だと思う。

でも実際はりりちゃんや母の実家の猫のように、まさかの展開でそうもいかなくなる動物も沢山います。
まだまだ変わらぬ日常が続くはずだと誰もが思っていたのに、まさかの事態が起こって生活が一変する。
世の中の全ての人が、どんなに真剣に考えて準備万端にして腹をくくってから動物を飼っても、『まさか』はいつ誰に降りかかるかわからないので、突然居場所をなくす動物はゼロにはならないだろうと思います。
そういう時のために保護施設や老犬ホームが増えたっていいと思うし、無責任に放り出される動物も実際沢山いる中、お金を払ってでも少しでも快適に愛犬が暮らし続けられるところ…と探してもらえるコは、幸せだと思う。

そういう施設や団体に甘えて、悪用する無責任な人間も、たまにいますけどね。
自分の手で処分するのは気がはばかられるから、そういうところにこっそり捨てて行ったりとか。
預けっぱなしにして音信不通になっちゃう人とか。
飼えないは飼えないで仕方ないから、堂々と顔見せて、きっかり反省して、頭下げて「よろしくお願いします」って言って行けばいいじゃん、と思うんですけどね。
きちんと説教食らって直接動物を託していく人はまだいいのかなと思います。
世の中には、ヘラヘラ笑いながら、殺処分する悪徳業者に「いつも悪いね」って金と共に動物を渡せる人もいるし、保護動物を引き取っては虐待して殺し、また次を引き取って殺し…という人もいる。
そういう人に絶対に動物が渡らない社会には、どうやったらなるんだろうな~。

実際、この高齢化社会で「高齢者だけの家庭には子犬、子猫は売らない」ってやってたら商売あがったりだし、ショップは間違いなくそんな事しないでしょうね。
むしろ「寂しい老後生活に癒やしのパートナーはいかが?」くらいのもんで、ターゲットにするだろう、と思います。
生体が売れないと儲からない、生活が成り立たない、おまんま食えない…となるとどうしても『売る』ことが一番大事になるから、「うちはトリミングサロンがメインだから生体は売れても売れなくても大丈夫よ~」っていう形態のお店が増えればいいのかなぁ。
「うちの子犬が幸せになれなさそうなご家庭には売りませ~ん」て姿勢でも、生体販売で成り立ってるお店もきっと沢山あるんだろうけどな~。

さて、ところで私、最近『アロマテラピー』にちょっとハマっておりまして、犬にも試すようになりました。
「アロマってニオイものでしょ!?犬は鼻がいいのに大丈夫なの!?」と思う方、いらっしゃるでしょうか。
ひとまず今日のところは「動物に使っちゃいけないマニアックな種類もあるけど、基本的には大丈夫です」とだけ書いておこう。
そのうち詳しく書きたいと思ってます。
何故ならりりちゃんが、寝る前にアロマを使った日は、朝まで安定して寝ているようだから。
使わない日は明け方に吠え始めたりするんですが、アロマ使うと、私の方から起きていくまで静か~にしてる。
これは偶然じゃないっぽいぞ?アロマってこんなに効果出るのか?まぁ確かに私もラベンダーなんか使って寝た日は撃沈だけど…そんな感じ。
犬向けのアロマテラピーも既にあちこちで取り入れられていますが、特にストレスケアに重点を置かなければならない犬には、どうも強い味方になりそうな予感。
皆さんの愛犬との生活に、気軽に更なる潤いをプラス出来るかも知れないので、そのうちアロマの話題をメインに記事を書いてみたいと思います。
 

正しい(?)ペットホテルの使い方

GW中は沢山のわんちゃんが泊まりに来てくれました☆
一頭ずつバラバラに散歩・トイレタイムで外へ連れ出す主義の私、歩きすぎて頭痛がする数日間でした(笑)
泊まりに来てくれたコ全頭ではないけれど、可愛い写真が撮れたのでご紹介。

常連さん、柴犬のトンちゃん。

トン

今回は七連泊の長期戦でしたが、頑張ってくれました。
トンちゃんは何度もうちに来てくれているので、すっかりうちでの過ごし方を知っています。
私のこともよくわかってくれています。
お迎えの時にシャンプーするのがいつもの流れなので、洗われると、そろそろお母さん来るかしら~なんて思ってるかも知れません。

続きまして、トイプードルのコロ君。

コロ

人が現れるとこのつぶらな瞳でクンクン鳴くので、大抵の人が「はいはい~(´∀`*)」となるところですが、「ハイハイ(-_-)」となってしまうひねくれた私です。
コロ君ももう何度か来てくれてるんですが、最初に比べると、随分ここでの過ごし方をわかってきたなと感じます。
月に一度あるかないかの事ですが、それでも学習・成長していくんだな~と感心します。
コロ君はまだ一歳に満たない子犬で、吸収盛りですしね。
こういう時にいろいろ良質な経験を積ませてあげたいものです。

次、ラブラドールのJUN君…

JUN_20140512103119537.jpg

あ、JUNは単なるお泊まりではなく預かり訓練だから、GW関係なかったわね。
失敬失敬。
もうまる二ヶ月、うちで過ごしています。
飼い主さんのおうちにお泊まりに行ってみることも何度かして、随分とイイコにしているとのことで、私も安心。
見知った道なら散歩も歩いて出来るようになり、大分落ち着きました。
まだムラはあるけどね。
たまにスイッチ入りますけど。
根は本当にイイコなので、気長にケアしていってあげられればと思います。

さて、本日はダックスのマロンちゃんを主人公に、『ペットホテルの利用の仕方』について、私が思うことを書いてみたいと思います。

マロン

ペットショップや動物病院、トリミングルームなど、多くの場所でペットホテルとして犬や猫をお預かりしています。
訓練所となると馴染みのない方も多いかも知れませんが、訓練所でも、訓練目的ではなく短期のお泊まりで犬を預かることをしているところもあります。
ペットホテルというものは、お預かりした犬を、基本的にはずっとケージなどに入れておきます。
人間が目を離した時に、変なものを呑み込んでしまったり、犬同士ケンカして怪我をしてしまったり、コンセントなどかじれば感電して命に関わる危険もありますよね、そう言ったことを防ぐためにも『基本はケージ』です。

その基本の上に、どのようなお世話スタイルを築いているかは、お店や病院によって異なります。
私の場合は、最低限、朝夕の散歩、その他に一回か二回、おしっこタイムで屋外に連れて行きます。
犬によってはおしっこタイムの回数をもっと増やします。
ケージなどに入っていられない(多大なストレスを感じて体調を崩してしまう)犬は、他の犬と仲良くできる場合は幸一達と同室に解放します。
夜は私もそこで寝るので、一緒に室内フリーで寝ます。
ケージに入れず、他の犬とも危ない場合は、トリミングする部屋で一頭だけ解放。
そんな具合で、なるべく、「これならこのコはお泊まりできる」を見つけてやっています。

今はこういうふうに、『極力犬にストレスを与えないお預かり環境を』と頑張っているお店が、少しずつ増えています。
いかにも檻!なケージではなく、一坪くらいの大きさの小部屋を沢山作ってそこに犬を入れたり、大人しく出来るコなら店内で解放していたり。
また、まだここら辺ではマイナーですが『犬の保育園』というものも増えてきていて、ケージに入れっぱなしではなく、スタッフが見守る中で犬同士を遊ばせて、心のケアをしたりマナーを学ばせたりすることもあります。
散歩をさせてくれるという所も随分増えました。

ですが、日に一度か二度のトイレタイムでちょっとだけ外に出て、あとは水とごはんを与えられるだけ、という預かり方のところも、まだまだあると思います。
特に動物病院などでは、ペットホテル業務がメインではない…獣医さんや看護師さんの仕事は、診察や入院しているコの手当が中心ですから、結構な数の預かり犬をしっかり散歩に出すような人手など、なくて当然です。
これは、私が病院や昔ながらのショップの預かり方を非難したいのではなくて、「そもそもペットホテルって当たり前にそういうもんだったし、その前提で料金設定をしている」ということを、皆さんに知って頂きたくて書いています。
「日に二回のお散歩付きですよ」「うちはドッグラン持ってるから、遊ばせますよ」という預かり方が出来る、そんなお店が増えている今がとっても喜ばしいことであり、鳴こうが喚こうが飲まず食わずになろうがケージに入れっぱなしにするしかない、それくらいの方がペットホテルとしては普通だったんです。

病院なら特に、犬が勝手に触れたら危ないものが沢山あります。
犬を室内で自由にするということは、誰かが必ずその犬を見ていなければなりません。
お預かりしている間に、スタッフの不注意で、犬が怪我をしたり命を落としたりしてしまう事は最も許されませんし、店自体の評判にも当然関わります。
お宅のわんちゃんがケージに入っていられないから、よかれと思って出しておいたのに…という言い訳は、預かった側が言うわけにはいきません。
と言っても、本当に誰かつきっきりで犬を見ていたら、他の仕事にも支障が出るし、他の犬と同じ金額でお預かりしていたら赤字です。
というわけで、初めから、『完璧に安心して犬を放せるスペース』が確保されていない限り、ケージに入れない犬でも入れるしかないんです。
ケージが苦手なコが二頭、三頭ぶつかってしまったらもう、最初からそのつもりで素晴らしいホテルを建てたっていうところでない限り、全頭を適切にお預かりすることは正直不可能になってしまいます。
珍しくない話ですが、「今すぐ迎えに来て」と飼い主さんに連絡が入ることもあるんですよ。

今日主役のマロンちゃんですが、彼女も、飼い主さんのお話では、そんな預かり環境に耐えられなかった一頭です。
以前一週間ほど病院に預けた時は、全くごはんを食べられず、ストレスからゲリが始まり、ゲッソリと痩せこけて帰ってくる事になったそうです。
その時ママさんは「このコがいる間は、自分は遠出できない」と思われたそうですが、同じ経験をした飼い主さんは少なくないのではないかと思います。

そんなマロンちゃんですが、結論から言うと、我が家ではフツーに家族の一員かのように過ごしています。
このGW中も二泊していってくれましたが、ごはんもそこそこ食べ、私と散歩もし、うちの犬とも平和にやっていました。
完全にリラックスしきっているというわけではありませんでしたが、病院での様子と比べると、大きな違いがあると思います。
何より大きいのは、マロンちゃん自身が我が家に来るのを嫌がらないらしいこと。
いつもは車に乗せただけで「どこに連れて行かれるんだろ…」とドキブルなんだそうですが、うちには喜んで来てくれるそうなんです。

どういう段階を踏んで、「おうちが一番」なマロンちゃんが、「ここも好き!」になってくれたのか。
まず最初にママさんと私がやったことは、『日帰りステイを何度か経験させる』ことでした。
必要がなくても、マロンちゃんを私がお預かりして、半日くらいでお迎えに来てもらうという事を何度か繰り返したんです。
私の方は、マロンちゃんについていてあげられる時にお預かりするようにし、うちの犬との様子や、室内で何か危ないことをしないか、散歩はどんな風にするかなどを観察しました。
二、三度もそういう機会があれば、「室内フリーでお預かりできるな、安心して目を離せるな」ということは充分すぎるくらいわかります。
それを経て、今回、初めてお泊まりに踏み切りました。

何度も我が家を訪れ、犬達とも、私の家族とも顔を合わせているマロンの方も、最初よりずっと慣れが出て、家族にだっこを求め可愛がられまくり。
私も安心して「ちょっと見てて」とお願いできます。
お陰で体調を崩すほどのストレスを与えることなく、滞在期間を乗り切りました。

トンちゃん、コロ君のところでも書いたとおり、何度か体験するうちに、犬は我が家での過ごし方をわかってくるのです。
「どうしたらいいの、あたしここではどうしていればいいんだろう…」という、漠然とした不安を抱えながら過ごすより、「鳴いても来てくれないし、逆に鳴かなくても時間になれば来てくれるし、寝て待ってればいいや。」「土田せんせー、ハミガキしてるからもうあとは寝るだけだね。出してって言っても仕方ないし、ぼくも寝よ。」という具合に、『ここではおおよそ、どんなことが起こるか』『この人はどんな人か』『ここでの大体の一日の流れ』を知って、落ち着いて過ごせるようになっていきます。
代表的なところで、本当に、私がハミガキを始めると誰も鳴かずに見ていますし、ケージにいるコも「出してくれるかなー?」と期待する様子もなく伏せているものなんですよ。
期待がある時はケージの中で立ち上がったりしますからね。

繊細でストレスにやられやすい犬ほど、こうやって、『短いステイから試す』『本格的なお泊まりの前に何度か宿泊先の環境を体験させる』という事をしてあげると、犬自身にもとてもいいですし、預かる身としても安心できます。
やはり初めましての犬をいきなり泊まらせるとなると私の方も戸惑う事が多いものです。
どんな犬なのか全くわからないので、つきっきりで見ていてあげられない時はいきなり室内に放すわけにいかないし、まさか犬の専門家ではない家族にも頼めない。
他に仕事が入っていたりすれば、取り敢えずケージに入れるしかありません。
若く元気な犬なら、少しくらいケージ内で騒いでいても放っておけますが、先日16歳の犬をお預かりした時はそうも言っていられませんでした。
そのコの場合は本当に急遽預ける必要が出て、しかもいつも預けていたところに頼めなかったという事で仕方がなかったんですが、不安や興奮で身体に障りはしないかと私もドッキドキの二日間でした。

一度でもショートステイを経験したことがあるコと、全く初めましてのコでは、結構態度が違うものなんですよ。
「ああ、やっぱり一度でも事前に連れてきてもらって良かったな」と、明確に感じます。
完全に我が家に打ち解けることまでは出来なくとも、最初の『右も左もわからない』のと、二度目の『“初めてではない”程度の認識』には、雲泥の差があると思わされます。
また、トンちゃんやコロ君はそのパターンですが、何度かレッスンで私がお伺いして、『我が家』は初めてでも『私』を知っているというパターン、これも『場所も人も初めまして』とは大きな差があります。
私の方も、「我が家でどんな行動パターンになるかはわからないけど、まぁおおよそ、犬のキャラクターわかってるから」という安心感があります。

連泊させる必要が出てから、初めてペットホテルを利用するのではなく、事前に信頼できるところを探してショートステイを体験させておく、これ本当にお勧めです。
「そんなのお金勿体ない」「間が空けば犬なんて覚えていられないでしょ?」「うちのコ本当にデリケートだからいくらそんな事したってダメだと思う」と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、自信を持ってお伝えしたい!

お金勿体なくないです!
少なくとも犬自身にとってはそれだけの価値があります!!

忘れちゃわないです!
一般的な認識より犬ははるかによく覚えていますし理解しています!!

デリケートなコほど試してください!
そのコに合った預かり方をしてくれる所を探してください!
信頼できるスタッフさんに、遠慮なくとことん相談してください!
『不安がっている』なりにも『不安度』が違うんです!!

私が一番良くないと思うのは、

「うちではケージになんて入れたことないし、ペットホテルの環境なんて可哀想」

と過保護にして、甘やかして、箱入りにさせてしまうこと。
自宅でケージに入れたことがあるかないかは、ペットホテルの環境に馴染めるかどうかとは、あまり関係ありませんし、犬から『経験』を奪ってしまう方がよほど可哀想です。
今回は『デリケートな犬』の方に焦点を合わせて書きましたが、大抵の場合、いきなり一泊二泊させても、戸惑いながらもどうにか逞しくやっていくものなんです。
正直動物は人間よりずっとずっと逞しいです!

マロンちゃんだって、ママさんが、「このコがあたし以外に抱っこされてるところなんて想像できない」と仰ったコです。
散歩中に他の犬を見かけると猛烈に吠えかかってしまって、幸一達と同じ空間でなんて、一緒にいられないと想像していました。
ごはんもきちんと食べられないかも知れない、あたしがいないとこのコはダメだと、ずっと互いにつきっきりになるようにして生活してこられました。

ですが実際は、ママさんと離れてうちでお預かりしてみたら、初回から普通に幸一達と同じ部屋で過ごせました。
私にも、私の家族にもだっこを許し、むしろすぐ自分から抱っこを求めることもしました。
最初は気が抜けず、心許なさそうに部屋の隅で座っている時間も長かったですが、今は犬のベッドや座布団の上で寝るのも当たり前。
ごはんもご自宅ほどではないかも知れませんがよく食べ、最初はうちでは緊張から思い切り出来なかったトイレも、段々と気兼ねなく外で出来るようになっていきました。

確かに簡単に他人に心を開かない個体では、最初の一日くらいは、飲まず食わずになってしまうこともあります。
しかし二日目には「さすがに喉渇いた…」と水を飲み、「腹減ってきたな…」とエサを食べ、三日目には「まぁこの人悪い人じゃなさそうかな~」と私に懐き始める。
最初はリードを引っ張らないとハウスから出てこなかったのが、三日目には自分から出てくるようになったり、自ら私の膝の上に飛び乗ってくるようになったり。
触ることまでは許容してくれなくても、私に対して親愛のシグナルを見せ、私の姿を見ると喜んでくれるようになったり。
大抵はそんなもんです。
死ぬまで飲まず食わずということは、まずありません。
と言うか私がお預かりした中ではあり得ませんでした。
世の中にはもしかしたら、本当に本当にデリケートで、例えばそこに何か重大な病気を持っていたりとか、年齢的に弱っていて耐えられなくなってしまったりとか、そういうこともあるかも知れませんが。

勿論、常に家族の誰かが必ず家にいて、ホテルなんて利用する必要がないという方が、犬にとっては幸せですよ。
慣れた環境で過ごせる方がいいに決まっています。
自宅の他に慣れ親しんだ親戚の家があって、そこに預けられる、なんてのも素敵な事です。
でも人間の生活にはいろいろありますよね、たまには家族揃っての旅行も行きたいでしょう?
親戚一同が顔を揃えなければいけない法事だってあるでしょう?
何かの事故や災害で、一時的にでも犬と離れなければならなくなる事態も、あり得ると思います。
そんな時、安心して愛犬を預けられるところがある、愛犬自身も気兼ねなく過ごせる場所が何ヶ所かあると、とても安心できますよね。

必要に迫られてからではなく、普段から心当たりを作っておく。
そしてやはり一番大事なこと、愛犬をガンガン社会に放り出して経験を積ませ、いつどこで何があっても大丈夫なしっかりしたオトナにしておいてあげる
そのために、ペットホテルや訓練所、犬の幼稚園など、上手に利用していきましょう。
ショートステイ、マジでお勧めですよ!!
 

柴ときどきシェパ

今月は三連休が二回あるんですね。
すっかり暑さも過ぎ去り(新潟はね)行楽日和。
お出かけになる方も多いようで、先週末はペットホテルが混み合いました。
混み合ったと言っても、うちは私一人でやっている&散歩に一頭ずつ出るのがポリシーなため、お預かりするのは三頭くらいが限界なんですが…(笑)

今回来てくれたのは、まずあんちゃん。

あんちゃん

ハーネスを忘れてきたので、保護犬レオのハーネスで散歩。
今回はあんちゃん、やけに歩かないと言うか…立ち止まってじーっとどこかを眺めたり、やけにニオイ嗅ぎがしつこかったりして、呼んでも来ない事も多く。
どうしたんだろうな~と思っていたところ、お迎えに来た飼い主さんから、「マラソン大会近いから一緒に走ってるんです」とご報告が。
なるほど、飼い主さんの走るペースに合わせて、最近は自分の好きな事を存分にやれていなかったのね。と納得。
だからニオイ嗅ぎや心を惹かれた遊びに対しての執着が強くなっていたのです。
犬は正直ですね。

次に、トンちゃん。
トンちゃんもレオのハーネスをつけてみた。

トン

今回たまたま男の子のあんちゃんと日程がかぶったので、ひしひしと実感しましたが、やっぱり女の子は大人しいですね。
男の子はやんちゃです。
やっぱり一般の飼い主さんには女の子が飼いやすいのかな~と思いました。
個人的には「オスは単純バカ(笑)で扱いやすい、メスは強か」と感じるんですが、それは私が日々犬という生き物を深く考察しながら付き合っているから気になる事なのだと思います。
一般の飼い主さんにとっては、表面的なやんちゃさ、攻撃性が低い方が、断然飼いやすいでしょう。
勿論、メスだからと言って必ずしもおしとやかで優しいわけではありませんし、犬種的特性も大いに関係しますが、基本的にはメスの方が飼いやすいでしょうね。

さてもう一頭、飼いやすい女の子の代表格、レティーちゃんも来てくれました。

レティーとちゃちゃ

こんな構図、冬場も撮ったな…と思い、データを見返したら、やっぱりありました。

幸一とレオ

狭い部屋に犬が何頭も入り浸るのでね。
仲良くするしかありません。

レティーちゃん本当によく来てくれるので、本人は勿論、うちの犬達もすっかり気にもしません(笑)
「なんだ君か、また来たの。」という感じで、歓迎も拒絶もしないと言うか。
「どうぞ、勝手に上がって。」みたいな雰囲気です。
幸一が散歩から帰ってきた時のちゃちゃ、というくらいの、自然なスルー具合。
レティー嬢すっかりファミリーの一員です。
レティーちゃんも「ただいま~」って言いそうな感じで入って来ます(笑)

さて、日々こうやっていろんなわんちゃん、飼い主さんと接していると、ご家族の何気ない行動やキャラクターがいかに犬に影響を与えているか、日々改めて教えられます。
明るく元気で、活発な方の愛犬は、やはり元気でちょっと騒々しく。
穏やかでおっとりとした方の愛犬は、同じようにおっとりと。
繊細で心配性な方の愛犬は、繊細で物事に過敏だったりします。
家庭内の雰囲気が悪かったり、何か大きな問題を抱えたりしている場合、犬の顔つきもきつかったり、いつも目が変な風にギラギラとしていたりする事もあります。
時には飼い主さんより犬の方がしっかりしていたりすることもありますが(笑)

犬は飼い主に似る、というのは、本当だと思います。
何故そうなるのかと言うと、簡単に言えば、飼い主さんが無意識のうちに愛犬をそういう風に育てているんですよね。
例えば、愛犬が散歩中に何かを拾い食いしてしまいそうになった時。
皆さんなら、どういう対処をしますか?
思わず「あー!!」と騒いでしまう人。
「あ…あー、食べちゃった。」とワンテンポ遅れる人。
まぁ別にちょっとくらいいいや、次から気を付けよう…と黙って見送る人。
「どうしよう、変なもの食べちゃって…ダメでしょ!汚いでしょっ!」とヒステリックになる人。
リードをぐいっと引っ張ったり、怒鳴って怒る人。
いろいろだと思います。
これらの飼い主さんの態度が、ダイレクトに犬に影響を与えるんです。

慌てて犬が口に入れたものを取り上げようと手を伸ばせば、犬は逃げるようになります。
その後、「もうっ、また変なもの食べて~!」と言いながらも本気で“怒って”はいない飼い主さんの場合、愛犬は、「ほ~ら僕またいいもの拾っちゃったよ!ママ、取ってみろ!」と、明るく楽しくイタズラを仕掛けてくるようになったりします。
拾い食いに「あぁっ!」と動揺し、「なんでそんなことするの!」とキーキー“怒って”しまう飼い主さんの場合、犬も神経質にチャンスを窺い、隙を突いて素早く拾い食いをし、必死で身をかわしながら慌てて飲み込むようになったりします。
何故なら後者の場合、それだけ飼い主さんが“必死”だからです。
“本気”で犬が見つけた『いいもの』を奪いに来るので、犬もより“本気”で自分のものにしようとするのです。
つまり犬も飼い主さんも、お互いに、“精神的余裕”がなくなるんです。

「あ!」と慌てない飼い主さんの場合はどうでしょう。
自分がゲットした素敵なものを、慌てて奪いにくるものがいないので、犬も慌てる必要がありません。
そういうコは、掃除機のように一瞬にして飲み込もうとすることがなかったりするものなんです。
これはいいものかな~、とニオイを嗅いで確認し、拾おうかな、とそっと口を開けて近付ける、そんな風に動いてくれるので、こちらも慌てず気持ちにゆとりを持って対処する“間”が出来るんですよね。
なので、愛犬がよく拾ってしまうものを把握しておいて、愛犬の鼻先が行くところをよく見て、拾ってしまうものがあったら、犬が完全にくわえてしまう前に対処する事が出来ます。

例えば私の場合は、犬が拾いそうなものを足で踏みながら舌打ちをします。
すると犬が「え?」という感じで私を見ます。
こちらを見返してくれた事に対して、「そ、イイコ。」と言いながら足をどかします。
最初は犬はまたすぐ目の前のものに鼻を近付けますが、同じ事を何度でも繰り返す。
すると大抵のコは、数回の内に、「食べちゃダメって事らしい」と理解して、自ら対象から離れてくれるものです。
やがて足を使わなくても、舌打ちだけで伝わるようになるし、うちのコは「食べないでね~」と声をかけておけばニオイだけ嗅いで我慢してくれます。

犬にとっての拾い食いなんて、小さい子がわざわざ水たまりに入りたがるレベルの“遊び”ですから、そもそもやっきになってやめさせようとする事ではないと私は考えています。
タバコを食べるとか、石を沢山食べるとかなら危ないですが、草や葉っぱを食べるレベルならむしろやらせてあげたいところ。
それをいちいち怒鳴って怒ったり、力尽くで子供の小さな手を引っ張って水たまりから引きずり出すようにリードを引いていたら、そりゃ健全になんて育たないよ、と思います。
「なんで~!?」という不満しか残らなくても当然です。

犬が何かをやらかしたことを受けて、慌てたり、ヒステリックになったり、激怒したりするのは、『犬に翻弄されている』と言えると思います。
犬のした事に動じず、「それはやらないでほしいんだよね~」と、飼い主が望む行為に犬を導いてこそ、主導権を握った、リーダーになると言えるのです。
「怒ってやめさせる」だけではダメだと思うんです。
「怒らずに、望ましい行動に誘導する」のが理想です。

でも、日々小さな子供ややんちゃな犬と付き合っていたら、いつも大らかににこやかに…なんて出来ないこともありますよね。
飼い主さんだって仕事や人間関係で悩み、イライラする時だってあるでしょう。
そんな時、直接犬に当たらなくとも、犬の方も精神的に乱れてくるのは、珍しいことではありません。
飼い主さんが乱れる時は、犬も乱れます。

常に動じず、犬に翻弄されず、堂々と穏やかにこちらが主導権を握る事が大切だと思いながらも、私も情緒不安定な人間です。
体調を崩す事もありますし、落ち込んだりイライラしたりもします。
だからこそ私は、『犬を精神的に自立させる事』を大事にしたい。
犬が私に依存していればしているほど、私の起伏に犬も流されるからです。
皆さんも、親しくもない人が落ち込んでいる時と、とても大切な人が落ち込んでいる時、自分の感情も違いますよね。
イメージとしてはそんな感じ。
そして、『ママが大好きな五歳児』と、『一人の成人として自立している30歳』、母親が落ち込んでいる事がどちらにより大きな影響を及ぼすか、ご想像頂けるかと思います。

犬も精神的に自立した大人にしてあげる事はできるし、そうしてあげられると、本人もとても楽です。
うちの場合は、幸一が私に対して依存傾向があり、私が落ち込むと一緒に落ち込みますが、ちゃちゃは自立しているのでカンケーなしです。
私がどうなっていようが、勝手にひとりで好きな事をして過ごしています。
さすがに目の前で私がキレると動揺しますが、彼は自分の力で「こういう時は自分はどうするべきか」を考える事が出来るので、誰にも何も言われなくてもその場に相応しい行動をチョイスする事が出来ます。
先日は、いつもなら「へへ~んだ、ぼく行かないよ~だ。」と悪ふざけをして、私をおちょくるシチュエーションだったのですが、私が激怒していたせいで、ちゃちゃはさっと私について来てささっと車に乗りました。
ちなみに私は一言もちゃちゃに声をかけておらず、ちゃちゃが自分で「自分も行かなきゃ」という状況判断をし、「今日はふざけてる場合じゃない」と考え、一番私を怒らせずにすむ方法を取ったのです。
ちょっと驚きました。
そして家に着いたら、私とは別室に行き、また好きなように過ごしていました。

幸一なら、いつまでも私に貼り付いて、気を遣い続けてしまうのです。
また、レオだったら「自分で考えるスキル」がまだ低く、私が怒っている事はわかっても「自分はどうしたらいいか」がわからず、右往左往してしまうところです。
三頭のうちどのコが一番“楽”かおわかり頂けると思います。

どうやったら精神的に自立した犬に育つのか。
ものすごく簡単にまとめますが、『飼い主さんが干渉しすぎない事』そして『普段から犬に考えさせる事』です。
犬がちょっとしたイタズラをするだけであーとかぎゃーとか騒いだり、こら!!と怒ったり…
可愛さからついつい構い過ぎたり、いつでも撫でてしまったり、犬がちょっと困っている時すぐに声をかけたり抱っこしたり…
知らず知らず過干渉になっている飼い主さんは、結構多いものです。

犬種的に、またはもとの性格的に依存しやすい犬だと、何気ない普段の接し方から、飼い主さんに依存してしまうのは簡単です。
ぱっと思いつくところで、ダックス、ラブ、シェパードなどは依存傾向が強いかと。
プードルも、飼い主さんがつい抱き上げてしまう点から、自力で物事に対処できなくなるコが多いでしょうか。
このような犬種は、犬のする事にいちいち口出しする形になってしまわないよう、特に注意する必要があります。
逆に柴やチワワなどもともと自立心の旺盛な犬種は、少しくらい構い過ぎても心配は少ないでしょう。
むしろ柴などは「もう撫でなくていいよっ!」という意思表示で咬むコも多いですしね。

そして、叱ったり音で驚かせたりして犬の行為をやめさせようとする、おやつで誘導して都合のいい方向へ仕向けようとするような育て方ですと、犬は自分で物事を考えられません。
ついつい「おすわり!」「伏せ!伏せなさい!」「待て!」とか言ってしまったり、リードを引いて犬の動きを制御しようとしたり、してませんか?

「それはダメ!!」とこちらの都合をぶつけてしまう事。
「こうしなさい!」と最初から『答え』をぶつけてしまう事。
誰もがやりがちな事ですし、私も昔はやりました。
でも今、幸一やちゃちゃは、私が何の指示も出さなくても、リードを緩めっぱなしでも、勝手に寝そべって大人しくしてくれている犬になりました。
「伏せ!待て!」と言われて伏せてはいても、「いつ飛び出してやろうか!?」「『ヨシ』はまだ!?」と思いながら伏せているのでは、意味がないな~と思います。

というわけで、本当の意味でリーダーシップを取れる飼い主さんがお一人でも増えるよう、頑張ります。
 

笑顔が眩しい彼女の日帰りステイ

先日初めてお預かりしたわんちゃんをご紹介します☆
じゃーん↓

ヨネちゃん満面の笑み

あれ?初めて?すごい馴染みのあるお顔…と思った方、大正解。
このブログへの登場頻度№1、ヨネちゃんです!
何度も遊びに来てもらったり、一緒にお出かけしたりはしていますが、お客さんとしてご利用頂いたのはヨネちゃんは初めて。
日帰りでしたし、ヨネちゃんは今の飼い主さんに引き取られてから何度か病院に入院したりもしてますし、私ともすっかり顔馴染みということもあってか、飼い主さんと離れても堂々たるくつろぎっぷりでした。

勿論ヘソ天↓
ヘソ天

ご満悦です。
ご満悦

そして勿論(ちゃちゃの)ベッドを拝借。
ベッドお借りします

いかがでしょうか、このリラックス具合。
飼い主さんに依存しすぎて、「どうしよう…帰りたいよ…ママ早く迎えに来て……」とストレスを抱え続けながら預けられるより、ヨネちゃんのようにらっくりしながら飼い主さんを待てる方が、犬自身も幸せですよね。
仮に不安からキャンキャン鳴いたり、おもらしをしたり、ごはんを食べられなくなったり…という明確なストレス症状が出なくとも。
一見イイコでも、リラックス出来ず憂鬱な気持ちで飼い主さんを待つ犬と、どこでも心から落ち着いてリラックス出来る犬とでは、大違い。
抱えたストレスが後で爆発する事だってあります。

だから私は、犬の“表面”だけ見て育ててはいけないと思うようになったのです。
人間だって、学生の時は真面目で物静かで勉強も出来て優等生だったという人が、ある日突然(に見えるタイミングで)大変な犯罪を犯したというようなニュースが、一時よくありました。
全部が全部ではないでしょうが、“一見優等生”だったものの、本人は葛藤や苦しみを抱えていたケースも多々あったのでしょう。
“今”の愛犬の状態や、表面的な行動だけ見ていても、わからない事もあるはずです。

目に見える行動だけ見ていても、犬がどうしてそれをするのか、どうしたらやめさせられるのかは、確かにわかります。
例えばスリッパや靴をかじり壊す犬がいたとして、『スリッパをかじると必ず飼い主さんが取り返そうとやって来る』という流れがあったとしましょう。
そして、犬がスリッパにいたずらをしても、ぐっと堪えて無視してみます。
それによって犬がイタズラをだんだんしなくなったとしたら、『飼い主さんに構ってもらえると思ってイタズラをしていた』ということになります。
構って欲しかったという犬の気持ち、構わないようにすればやめさせられるパターンだったのだという事は、確かに証明できます。

ですが、私がもっと重要だと思うのは、『何故犬がそういうイタズラをしてまで構って欲しいと思うようになったのか』です。
もしそのきっかけが、軽いものではなく、深い心の傷からきているものだったら。
例えば、『新しい子犬が来て、飼い主さんがそっちに夢中』とか。
『留守番の時間が今までより増え、一日のほとんどをひとりで過ごすようになった』とか。
『まともに散歩に連れ出してもらえず、欲求不満から破壊を繰り返している』とか。
そういう背景があるのなら、「スリッパをかじる事さえやめてくれればいい」という問題ではないと思うのです。
一方的に犬にばかりイイコでいる事を求め、人間の都合ばかり押し付ける事が、どうして出来るでしょうか。
ましてそんな淋しさや苛立ちを抱えている犬に、『厳しく叱りつけてイタズラをやめさせる』というのは、どうなのでしょう…。

やはり飼い主さんが『問題行動』と認識している行為にだけ焦点を合わせては、真の意味での根本解決は難しいと思うのです。
私は優等生すぎて苦しんでいた幸一からそれを教わったので、目には見えないものも信じて犬と向き合っています。
だから、飼い主さんが困っている事とは直接関係なさそうな事、望んではいない事も、犬の立場からしたら大事なんですよ、ということをご説明します。
よそへ預けた時、愛犬がピーピー泣いたって、実際飼い主さんは別に困りませんよね。
でも、ピーピー言わないでヨユーの精神状態で過ごせる方が、犬自身は断然楽な事は、否定しようがないと思います。

ならばなるべく、いつでもどこでもヨユーでやり過ごせる犬に育ててあげるのが、飼い主さんの責任だと思うのです。
そうするために大事なのは、やはり経験!
狭い家の中だけに閉じ込めて飼っていてはいけません。
日々の散歩は勿論のこと、小さいうちから無理のない範囲であちこち連れて行ってあげたり、必要なくてもペットホテルや病院に日帰りステイさせたりしてみましょう。
必要に迫られていきなり三泊させるより、何度かショートステイを経験してからの方が、犬の負担はぐっと少なくなります。

勿論、そうやって育てたからと言って必ずなんでも平気な犬になるわけではありませんし、そうやって育てなくても、ヨネちゃんのようになれる犬もいます。
確実に言える事は、もともと恐がりで新しい物事に臆するタイプの犬を、家からろくに出さず育てたら、ますます閉鎖的で臆病な犬に育つでしょう。
まずそういう性格の犬は繁殖に使わないでほしいし、難しそうな犬が生まれたら店頭に並べないで産ませた人が責任持って育てて欲しい…つまり一般の飼い主さんに難しいキャラクターの犬が渡る事がないように、業界そのものが配慮していってほしいところですが、実際は利益優先でまだまだそうなっていません。
飼い主さん一人一人も、犬選びから気を付けて、愛犬の性格をよく考慮し、適切な育て方をしていきたいものですね。

さて、夕方ヨネちゃんをお迎えに来た飼い主さん、通称ヨネハハさん。
ケッサクショットを提供してくださって、お帰りになりました。
前回の記事に続き、やってくれたのは茶々丸君。

さすがちゃちゃ

これは多分、本人としては一応真剣に、レオにカーミングシグナルの一つあくびでメッセージを送り、レオもそれに鼻を舐めるというサインで応えているワンシーンなのですが…。
どうしてもちゃちゃだと、教科書的にはなりませんね。。。